スポーツ・膝疾患治療センター
第3回甲信膝関節セミナーにて古屋医師が講演を行いました。
概要
2007年6月に国立病院機構甲府病院整形外科にスポーツ・膝(ひざ)疾患治療センターを開設し、現在に至ります。スポーツが原因の傷害(ケガ)、特に膝関節疾患の治療を積極的におこなうことを目的としたセンターで、アスリートを中心に多くの患者さんのために積極的に活動しています。
センターの紹介
センター長からのご挨拶
スポーツ・膝疾患治療センターは、国立病院機構甲府病院内にスポーツ外傷や膝疾患の治療を目的として2007年に開設されました。以来、多くのアスリートや膝疾患の患者さんのご理解をいただき順調に発展してまいりました。
近年、国民のスポーツに関する意識が高まり、スポーツの実践は健康の増進に有効とされ、スポーツを通じての健康づくりやスポーツ医療は将来さらに大きく展開していくことが予想されます。
スポーツ・膝疾患治療センターでは、アスリートのスポーツ傷害の診療をはじめとして、一般の方々の膝疾患に対する治療も積極的に行っています。その一方で、看護師や医学部の学生、ならびに理学療法士などパラメディカルのための教育活動も提供しています。さらに、膝の内視鏡を駆使した関節鏡手術に関わる調査・研究を進め、常に最新の医療が提供できるよう努力しています。
山梨県内のみならず、国内外のより多くの方々にスポーツ・膝疾患治療センターの活動を知っていただき、満足のいくセンターとして活用していただきたいと思います。今後も診療内容を充実させ、センターの充実に努めていく所存ですので、よろしくお願いいたします。
特色
スポーツが原因のケガを負った患者さん、またサポーターや安静など保存治療でも改善がみられない膝関節疾患の患者さんを、体に優しい内視鏡による手術(関節鏡視下手術)により治療します。主に膝十字靭帯(じんたい)損傷に対する靱帯再建術、半月板(はんげつばん)損傷に対する半月板修復術、関節軟骨損傷に対する手術を行っています。
対象となるスポーツ種目はバスケットボール、バレーボール、ラグビー、サッカー、ハンドボールなどの球技から柔道、レスリング、スキーなど様々で、中高生や大学の部活動、社会人実業団チーム、家庭婦人バレーチームなどプロスポーツ選手からアマチュアさらに一般の方まで広く対応しています。
実績
甲府・峡中地域を中心に山梨県全域から多くの患者さんがセンターを利用され、東部富士五湖地域や県外から受診する人も少なくありません。センターの開設以来、関節の内視鏡(関節鏡)手術が増加し、これに伴い整形外科手術件数も年々増加しています。
2023年度(2023年4月~2024年3月)の1年間における手術件数は1447件で主な内訳は表のとおりです。関節鏡手術が年間724件に及ぶことは当院の特色の1つで、膝靱帯再建術は山梨県内で最も手術件数が多く、これを含めた関節鏡の症例数も群を抜いています。また全国病院別治療実績(DPC対象病院)では、2021年4月~2022年3月退院患者の統計におけるスポーツ障害部門で、全国3位となっています。さらに本年度から導入した手外科疾患の専門的治療においても手術が年間349件に及んでおり当院の特色となってきています。
また全国病院別治療実績(DPC対象病院)では、2021年4月~2022年3月退院患者統計におけるスポーツ障害部門で、全国3位となっています。
さらに関東大学ラグビーリーグに所属する山梨学院大学ラグビー部のチームドクターとして病院外でも活動しています。また日本ホッケー協会にも協力しています。
トピックス
2024年10月
2024年10月12日、第3回甲信膝関節セミナーが開催されました。古屋直人医師が前十字靭帯再建術に関する講演を行い、落合聡司副院長が座長をつとめました。
2024年9月
2024年9月30日から2日間、シンガポールにて落合副院長が講師となり古屋医師・白倉医師(山梨大学)・天野医師・萩野医師と共に膝関節鏡手術のワークショップに参加しました。様々な膝関節疾患に対する手術手技を習得しました。
2024年3月
2024年3月9日当院にて山梨県リハビリテーション生涯教育研修会が開催されました。信州大学リハビリテーション科教授 堀内博志 先生による人工膝関節置換術に関する講演の座長を萩野哲男院長がつとめました。
2024年1月
令和6年1月27日から北海道苫小牧市において開催された第78回国民スポーツ大会冬季大会スケート競技会に萩野哲男院長が山梨県選手団本部役員、スポーツドクターとして協力しました。
2024年1月
山梨日日新聞に齋藤正憲医師の手舟状骨骨折に関する記事が掲載されました。
2023年10月
令和5年10月4日に国立競技場にて開催されたAFC CHAMPIONS LEAGUE ヴァンフォーレ甲府 vs ブリーラムユナイテッド(タイ) において後藤 豪 医師が会場ドクターとして協力しました。
2023年11月
2023年11月25日に落合副院長が膝関節に関するセミナーを主催します。
(医療者・トレーナー向けです/参加無料)
2023年8月
山梨日日新聞に山下隆医師、古屋直人医師の膝関節疾患に関する記事が掲載されました。
2023年6月
萩野哲男院長が2023年6月28日 日本リハビリテーション医学会 2022年度国際誌優秀論文賞を受賞しました。
受賞論文は重症心身障害児者の骨折の危険因子について研究した以下の論文です。
Hagino T, Ochiai S, Senga S, Yamashita T, Saito M, Wako M, Taniguchi N, Ando T, Haro H.: Risk Factors for Long Bone Fractures in Patients with Severe Motor and Intellectual Disabilities: A 6-year Follow-up Retrospective Study. Prog Rehabil Med. 2022 Apr 8;7:20220018. doi: 10.2490/prm.20220018. eCollection 2022. PMID: 35434403
2023年5月
令和5年5月28日にJIT リサイクルインク スタジアムにて開催された第45回UTY招待ラグビーにおいて落合聡司副院長が試合ドクターとして協力しました。
2023年4月
落合聡司副院長が山梨学院大学 スポーツ科学部客員教授に就任しました。
当院の副院長、スポーツ・膝疾患治療センター長も引き続き兼務致します。
2023年1月
令和5年1月27日から青森八戸市において開催された特別国民体育大会冬季大会スケート競技会に萩野哲男院長が山梨県選手団本部役員、スポーツドクターとして協力しました。
内視鏡手術について
全身麻酔または腰椎麻酔で下半身の痛みをとり、関節のまわりに7ミリほどの小さな切開を2箇所に加えます。そして関節を水で膨らませ、鉛筆ほどの太さの内視鏡カメラを挿入し、液晶モニターに映し出す事により半月板、靭帯、関節軟骨など関節の内部を観察します。同時に半月板などの傷んだ部分を修復したり、不要な遊離体(ねずみ)を摘出除去します。また靭帯再建術も内視鏡を利用し行い、切開は通常3箇所のみで、傷痕は目立ちません。
スタッフ
スポーツ・膝疾患治療は、整形外科医師(萩野哲男、落合聡司、千賀信也、山下隆)をはじめとして、理学療法士、外来・病棟・手術室看護師などのスタッフが協力し手術、リハビリテーション、看護を行っています。患者の皆さんが日常生活や仕事、スポーツの現場に早期に復帰するためカンファレンスを行い、最善な治療法を計画しています。
主な設備
2010年4月先進的な高機能鏡視下手術システム(Smith & Nephew’s Digital OR )を採用しました。また膝関節の靭帯損傷を正確に診断するためには欠かせないMRI(核磁気共鳴画像法)撮影装置、X線用ストレス用関節固定器(telos SE)があります。そのほかリハビリテーションには膝疾患の患者さんの機能評価を的確に行う多用途筋機能評価運動装置バイオデックスシステム4(Biodex Medical Systems社,USA)のほか、エルゴメーター、トレッドミルなどのトレーニング機器を常備しています。
(高機能鏡視下手術システムを導入した第1手術室)
多用途筋機能評価運動装置バイオデックスシステム4
(写真はBiodex Medical Systems, Inc.のHPから)
その他
膝以外のスポーツ傷害や、スポーツ以外が原因の膝疾患についても相談に応じます。平日の午前中に診療を行いますが、できるだけ紹介状を持参し来院してください。
その日の混み具合により待ち時間が長くかかる場合があります。大変にご迷惑をおかけしますが、ご理解よろしくお願いいたします。